睡眠時無呼吸症候群とは
✔ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりする病気です。多くは、のどの空気の通り道が狭くなる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)です。
✔ 呼吸が止まるたびに血液中の酸素が低下し、睡眠が分断されます。大きないびき、日中の強い眠気、起床時の頭痛、集中力の低下などがみられます。
✔ 治療せずにいると、高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まる可能性があります。
当院では、症状や生活状況を確認し、ご自宅で行える睡眠検査に対応しています。
このような症状がある方はご相談ください
次のような症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。ご本人が眠気を自覚していなくても、ご家族から呼吸停止を指摘されることがあります。
・大きないびき
・睡眠中に呼吸が止まる、むせる、あえぐ
・日中の強い眠気や居眠り
・起床時の頭痛、口の渇き
・夜中に何度も目が覚める、夜間頻尿
・集中力の低下、倦怠感、イライラ
・治療を受けても血圧が下がりにくい
放置した場合のリスク
睡眠中の低酸素と覚醒を繰り返すことで、血圧や心臓、血管に負担がかかります。高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などとの関連が指摘されています。日中の眠気による交通事故や仕事中の事故にも注意が必要です。
当院で行う検査
①診察:症状、いびき、日中の眠気、生活習慣、持病などを確認します。
②自宅での睡眠検査:就寝中の呼吸、酸素飽和度などを測定します。
③結果説明:検査結果と症状を合わせて評価します。
④治療:必要に応じてCPAP治療、口腔内装置の相談をします。
検査で異常が少なくても、症状が強い場合は追加検査が必要になることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
治療は重症度、症状、持病、検査結果に応じて選びます。
・生活習慣の改善:減量、節酒、禁煙、横向きで寝る工夫、鼻づまりの治療など
・CPAP治療:睡眠中にマスクから空気を送り、気道がふさがるのを防ぎます。保険診療上の適用は検査結果などから医師が判断します。
・口腔内装置:軽症例やCPAPの継続が難しい場合などに、連携する歯科で相談します。
・専門医療機関への紹介:精密検査や手術の検討が必要な場合にご案内します。
睡眠薬などを使用している方は、自己判断で中止せず診察時にお知らせください。

睡眠時無呼吸に有効な治療法はいくつかあります。
睡眠パートナーがいるなら、共に話し合いの輪に加わる必要があります。
OSAの重症度によって、さまざまなオプションがあります。体重を減らすこと、飲酒量や睡眠導入剤の使用を減らすこと、睡眠時の体位を変えるための工夫(仰向けにならないようにして横向きで寝るために背中にテニスボールをつけるなど)をするなど、ライフスタイルの変更を提案することもあります。
OSAのほとんどの患者は、持続的気道陽圧法(CPAP)療法によって症状が大幅に改善します。これは睡眠中に鼻にマスクを着用する方法です。マスクは機械に接続して、気道に空気を押し出して気道閉塞を予防します。機械がどのように作動し、どのように維持するかを理解することが重要です。CPAPでは、マスクの装着不良または不快感、鼻づまり、気道の乾燥などの問題が起こるかもしれませんが、これらは容易に修正可能なので、心配なら担当医に相談してください。就寝時は常時機械を使う必要があります。すべての機械には、さらなる使用上の注意事項とフィードバックを提供するガイドが付属しています。
個々の状況に合わせて、口腔内装具や手術療法などのOSAを治療するための他のオプションもあります。自分にあった最良の治療方針について主治医と相談してください。
やや専門的に・・・
定義
・睡眠時に無呼吸が繰り返され、睡眠の分断化、深睡眠の減少により日中過度の眠気等を伴う病態
・無呼吸とは、10秒以上の口と鼻での気流の停止
・睡眠1時間あたりの無呼吸低呼吸指数( apnea hypopnea index : AHI )が5以上で、無呼吸に伴う自他覚所見を伴う場合を睡眠時無呼吸症候群という。AHIが5〜15未満(軽症)、15〜30未満(中等症)、30〜(重症)とする。
分類
・閉塞型(最多);アデノイド、下顎発育不全、肥満などが誘因
・中枢型;重症の慢性心不全、脳卒中など
・混合型;はじめは中枢型で、次第に閉塞型に移行する
疫学
有病率は、成人男性の約3〜7%、女性の約2〜5%にみられ、男性では40〜50歳代が半数以上を占める一方、女性では閉経後に増加する傾向があります。
病態
閉塞型では、上気道閉塞に伴う無呼吸、低酸素血症、交感神経系の活性化、無呼吸解除時の覚醒を睡眠中に繰り返す。
症状
・睡眠時の症状は、いびき、異常体動、中途覚醒、夜間頻尿
・昼間の症状として、傾眠、頭痛、集中力の低下
・昼間の眠気の程度を調べる問診票として、ESS( Epworth Sleepiness Scale )があり、8つの質問に0〜3点までの点数をつけて、それらを合算して評価します。10点以下は正常、12点以上は中等症、16点以上は高度の傾眠となります。ただし、SASであっても「眠くない」、「眠気を自覚していない」という方もいるため注意が必要です。問診では診断できません。
検査
・スクリーニング検査:口鼻気流、胸部・腹部運動、酸素飽和度、心電図などを同時測定
⇒ 簡易型PSG検査( PSG : polysomnography ):偽陰性が多いので、除外診断には用いない。
・精密検査:終夜睡眠PSG検査
①睡眠stageをみるための脳波、眼電図、筋電図
②換気機能をみるための胸郭・腹部の換気運動、口と鼻の気流、酸素飽和度を中心に測定する
治療
・生活習慣の改善および増悪因子の除去
・減量、鼻閉治療(点鼻薬)、睡眠薬の内服禁止、節酒、側臥位での就寝、アデノイド切除、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)など
・経鼻的持続陽圧( nasal CPAP : Continuous Positive Airway Pressure ):AHI 20以上(簡易PSGでは40以上)で保険適応。装着した鼻マスクから呼吸に合わせて送気して圧を与え、軟口蓋や舌を持ち上げて上気道を開きます。これにより、いびきや無呼吸をほぼ解消させることができます。この治療により、およそ半数の方が劇的に症状の改善を認めます。月に一回、医療機関を受診する必要があり、機器のレンタル代を含めると、3割負担の方で月5000円前後の負担となります。アドヒアランスが問題となる場合は、まず4時間以上、70%の装着率が目標になります。
・口腔内装置(マウスピース):nasal CPAPの適応とならない軽症例や、CPAPの継続が困難な場合。保険適応で自己負担は1〜2万円程、歯科専門医により歯並びや顎の形に合わせてオーダーメードで作成されます。口腔内装置の利点は、一度作成すればCPAP治療のように毎月受診する必要がなく、持ち運びにも便利です。AHIの改善は期待しにくいですが、自覚症状や合併症の改善効果はCPAPと同等とする報告もあります。
OSASの合併症
・高血圧症、不整脈、肺高血圧症、右心不全、多血症、虚血性心疾患、脳血管障害など
・心血管系の合併症が死因になることが多い
・飲酒、睡眠薬、鎮静薬投与は症状を悪化させる
・apnea hypopnea index( AHI )が30以上では明らかに生命予後が悪く、主に心血管系合併症が主因である( 健常人の約5倍 )
よくある質問
Q. いびきだけでも受診できますか?
A. はい。いびきは睡眠時無呼吸症候群の代表的なサインです。ご家族から呼吸停止を指摘された方や、日中の眠気がある方はご相談ください。
Q. 検査は自宅でできますか?
A. 当院では、ご自宅で就寝中に行える睡眠検査に対応しています。検査機器の使い方は受け取り時にご説明します。
Q. CPAPは一生続ける必要がありますか?
A. CPAPは使用している間に気道を保つ治療です。継続期間は、体重の変化や治療効果、再検査の結果などを確認しながら医師と相談します。自己判断で中断しないことが大切です。
Q. CPAPの費用はどのくらいですか?
A. 保険診療の自己負担割合や受診内容によって異なります。適用条件と費用は、検査結果をご説明する際に個別にご案内します。
Q. 高血圧と関係がありますか?
A. 睡眠時無呼吸症候群は高血圧と関連し、治療を受けても血圧が下がりにくい場合の原因になることがあります。高血圧といびき・日中の眠気がある方はご相談ください。
Q. 検査中に眠れなかった場合はどうなりますか?
A. 睡眠検査は普段のご自宅で行います。記録状況によっては再検査をご案内することがありますので、結果説明時に医師が確認し ます。
受診時には、お薬手帳、健診結果、他院で受けた睡眠検査の結果があればお持ちください。ご家族が確認したいびきや呼吸停止の様子も診断の参考になります。
※検査・治療の適応は、診察と検査結果をもとに医師が個別に判断します。
参考情報・監修
参考:日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群」および「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
医療情報確認日:2026年9月
監修:エムズ総合内科クリニック 医師
このページは一般的な医療情報を提供するもので、個別の診断に代わるものではありません。症状がある方は医療機関へご相談ください。

